万年筆のインクが出ない時の対処法
デジタル機器溢れる現代社会において、ぬくもりが感じられる万年筆は書く喜びを感じさせてくれる筆記具です。しかし、綺麗好きな万年筆はお手入れを怠るとすぐにへそを曲げてインクが出なくなってしまいます。そこで、万年筆のインクが出なくなった時の対処法と、新品の万年筆のインクの出し方についてご説明します。
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万年筆のインクが出ない時のお手入れ方法
万年筆はボールペンなどの他の筆記具と比べると、非常に手間のかかる筆記具です。インクや使用後の手入れなど手間はかかりますが、他の筆記具には無い「味のある文字」が魅力の筆記具です。
つい万年筆の手入れを怠ると、インクが出てくなくなることもしばしばです。万年筆にインクが入っているのに書けない時は、インクの水分が蒸発してペン先やペン芯にインクの成分が詰まっているケースが多いです。そこでこの対処法をご紹介します。
インク詰まりの正しい対処方法
まずはペン先までインクが来ているかを確認します。方法は簡単です、ティッシュをペン先に軽く押し当てるだけです。インクがペン先にまで来ていれば、インクがティッシュに染み込んでいきます。インクが染み込まなければ、どこかでインクが詰まっているということです。
インク詰まりの対処法は、水洗いです。詰まったインクを水に溶かして洗い流します。ここでやってはいけないことは、無理な分解や薬品の使用です。これらの方法を用いれば、メーカーに修理を出した場合に保証が受けられない可能性があるためです。改善されない場合は下手なことはせずに、素直にメーカーに修理を依頼しましょう。
個人で出来る対処法は、水洗いです。多くの場合は水洗いでの改善が可能です。用意するものも、水とペン先を入れる容器とティッシュだけです。具体的な方法について以下でご説明します。
カートリッジ式万年筆・コンバーター式万年筆
お使いの万年筆がカートリッジ式やコンバーター式万年筆であれば、まずはカートリッジ(コンバーター)を抜きます。もったいないかもしれませんが、インクが残っていてもカートリッジは処分し、残ったインクは処分します。
容器の中にぬるま湯を入れ、ペン先と大先(ペン先の付いた部分)を漬けます。このときぬるま湯の方が効果的ですが、熱湯ですと変形のリスクがあるので避けて下さい。
一昼夜ほど漬けて固まったインクをゆっくりと溶かします。時間が経ったら容器から取り出して、流水でよくすすぎます。インク色が出てこなくなるまで水でよく流します。変形のリスクがあるので、擦るようなことは不要です。
最後に綺麗な柔らかい布(ティッシュでも可)で水分をよく拭き取れば完成です。これでも改善しない場合は、もう一晩漬けてみて下さい。それでも改善しなければ、メーカー修理が必要だと思いますので、メーカーに相談してみて下さい。
吸入式万年筆
お持ちの万年筆が吸入式万年筆でしたら、まずは容器にぬるま湯を多めに入れて下さい。そこにペン先全体を入れて、水を吸い込ませては吐き出させます。これを万年筆の内部が綺麗になるまで繰り返し行います。
この時に、水をうまく吸い込めない・吐き出せないという状態であれば、カートリッジ式やコンバータ式万年筆と同様に、一昼夜ほど漬け込んでください。ペン先が曲がらないように丁寧に容器に立てかけます。
漬け込みが終わったら、前述したように水を吸い込ませて吐き出させるを繰り返します。容器の水が汚れたら取り換え、容器の水が透明になるまで繰り返してください。
容器の水が汚れなくなったら、最後に柔らかい布で水分を優しく拭き取れば完成です。
万年筆の長期保存方法
万年筆は手入れを怠ったり、長期間使わないでいるとすぐに詰まってインクが出てこなくなります。そこでしばらく使う予定が無いのであれば、保存の為の手入れ方法があります。
それは、インクを抜いた後に上述した方法で洗浄することです。洗浄後に水分をよく拭き取って保管すれば、綺麗に保存することが出来ます。こうすることによって、次に使う時にすぐに使えるようになります。
インクが出にくい新品の万年筆の対処法
新品の万年筆を購入した後は、すぐに試し書きをしたくなりますよね?しかし、書こうと思ってもインクが出てこない。という経験は誰しもがあると思います。そこで新品の万年筆のインクをすぐに出す方法をご紹介します。
そもそも万年筆には、カートリッジからペン先までに距離があります。この間にインクが浸透して馴染むまでに時間がかかるので、新品はなかなかインクが出ないのです。
インクが出ないからと言って万年筆を「振る」ことは避けて下さい。万が一投げてしまったり、落としてしまえば万年筆が壊れることもありますし、キャップの中がインクまみれになる可能性もあります。
ペン先を強く押し当てるのもおすすめしません。万年筆の書き味を左右するペン先をインクが着ていない状態で押し当てることは、ペン先の変形や劣化の原因となります。
そこでおすすめの方法は、インクカートリッジを押す方法です。縦に押すのではなく、インクカートリッジの中央付近を指で挟むようにして押していきます。強く押しすぎるとインクが垂れる可能性があるので、ゆっくりとペン先にインクが浮くまで押してください。