万年筆と相性の良いおすすめなノートまとめ

快適に楽しく文字を書くために大切なことは、「何で」書くかの次に、「何に」書くかが重要なポイントになります。万年筆で筆記する際に、紙の品質を見極めるのはとても大切なことです。せっかく良い万年筆を手に入れても、なんだか書き味が物足りないなぁ、となってしまっては勿体ないですよね。
ノートは万年筆で文字を書くための必須アイテムです。万年筆そのものの良さを引き出し、スラスラと気持ちよく文字を書くために最適なノートをここではご紹介します。
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万年筆とノートの相性が悪い場合に生じること
万年筆で筆記する際に、書き手の意欲を削いでしまう大きな原因には以下のようなものがあります。
文字が滲む
万年筆のインクは水性なので、文字を書いていると紙に滲んでくることがあります。大げさに例えるならば、雨にぬれたり飲み物をこぼしたような状態です。せっかくきれいに書けたと思っても、書いたそばからインクの滲みが始まり、書き終わる頃には文字がふやけて見栄えが悪くなってしまいます。
文字が裏抜けする
文字が滲むのと少し似ていますが、文字を書いた後にノートをめくると、裏側に逆さ文字で染みてしまうことがあります。片面のみで書くのであればまだ許せますが、通常のノートは紙の両面を使いますので、文字が裏抜けするのは避けたいところです。
ペン先が引っかかる
ペンを走らせている際、ザラザラとペン先がノートに引っかかる感覚を体験した方は多いのではないでしょうか。引っかかりは書き手のストレスの原因にもなるだけでなく、実際に書かれた文字を見てみても、ケバケバとしていてあまりきれいな書体とは言えなくなってしまいます。
最適なノートの要素とは何か?
万年筆と相性が良いノートを探そうとしても、実際に様々なノートに試し書きするのもお金がかかってしまいますよね。しかし、ノートの「ある情報」を確認することで、相性の良いノートを見つけることができます。上述した問題点を大きく2つに分けて、その解決策をご紹介します。
文字の滲み・裏抜けが起こりにくいノートの特徴
紙の「坪量」という単語をご存知でしょうか?単位で書くと「g/m2」となり、1平方メートルあたりの紙の重さを表しています。この単位が示すのは重さですが、紙の場合はそれがそのまま厚さとして認識されています。通常、各ノートの裏面などに記載されているので誰でも確認できます。
下におおよその重さ(≒厚さ)を紙の種類ごとにまとめました。
紙の種類 | 坪量(重さ≒厚さ) |
コピー用紙 | 65~70 g/m2 |
わら半紙 | 70~80 g/m2 |
日本の一般的なノート | 70~80 g/m2 (JIS規格では75 g/m2と定められています) |
- ショウワノート | 70 g/m2 |
- キャンパスノート | 75 g/m2 |
- マルマンノート | 80 g/m2 |
- ツバメノート | 83.5 g/m2 |
ヨーロッパの一般的なノート | 80~90 g/m2 |
マルマン・ボストンノート | 96.4 g/m2 |
モレスキン(MOLESKINE) | 70~200 g/m2 |
画用紙 | 150~200 g/m2 |
年賀はがき | 210 g/m2 |
万年筆に合うノートを紹介しているウェブサイトもいくつか拝見しましたが、滲みもなく裏抜けもないノートの条件としては、最低でも80 g/m2は必要であることがわかりました!
また、通常のノート用紙(上質紙)は、鉛筆やボールペンで書いた場合には不具合は出ませんが、水性ペンで書くと滲んでしまうという特徴があります。万年筆のインクはすべて水性ですので、JIS規格の75 g/m2、つまり日本の一般的なノートは万年筆にあまり向いていないということになります。
また、意見が大きく分かれるのがモレスキン(MOLESKINE)のノート。その理由は、下の表のように、70~200 g/m2と製品ごとに幅にあり、一概に全部が良い・悪いとは判断ができないということです。モレスキンのノートを検討している方は、一度ノート裏面で坪量を確認してみましょう。
70 g/m2 | 100 g/m2 | 165 g/m2 |
クラシック ノートブック |
フォリオ プロフェッショナル |
アートプラス スケッチブック |
各国での一般的なノートの厚さの違いは、教育文化が原因!?
上の表にもあるように、日本の一般的なノートは「70~80 g/m2」である一方、ヨーロッパの一般的なノートは「80~90 g/m2」です。なぜこのような違いが生まれたのでしょうか?
第二次世界大戦後、日本の学校における筆記具は「鉛筆」が主流でした。一方で、ヨーロッパにおける筆記具は「万年筆」が主流だったのです。実際に、現在でもヨーロッパの小学校では、文字の書き方を万年筆で教えているところもあるそうです。理由としては、万年筆の良さでもある「力を入れずにかける」ことから、筆圧なくきれいな文字の練習になるからだそうです。
滲みもなく裏抜けもないノートの条件を「80 g/m2」と記載しましたが、JIS規格や上の坪量の表を見る限り、日本製のノートは文化の違いからも少々分が悪いです。しかし、現在では80 g/m2を超える筆記用のノートも多数発売されています。
ペン先が引っかかりにくいノートの特徴
先の坪量の話から、数値が大きいほどインクが滲みにくいという話をしましたが、単に厚ければ良いという問題でもありません。キャンパスノート(75 g/m2)と画用紙(150~200 g/m2)を比較して、画用紙の方が書きやすいと感じている人はいないと思います。
その原因は「ペン先が引っかかること」、つまりは、「紙の品質」に依存する部分も大きなポイントなのです。筆記用紙として最も多く使われている以下の3つについて、万年筆での筆記という観点からその違いをご紹介します。
上質紙(75 g/m2)
主に印刷用紙として使用されています。表裏にコーティングをしていないため表面はパルプが露出していますが、パルプ比率が高く、コート紙と比べると強度や透明度が高く汎用性に優れた用紙です。万年筆で筆記すると、引っかかりはほとんどありませんが、滲みやすく、裏移りもしやすいです。
フールス紙(80~85 g/m2)
主に筆記用紙として使用されています。上質紙よりもひと工程多く丁寧に漉いて作られており、ツルツルしすぎず、逆にザラザラもしすぎない、筆記用として最高品質の用紙です。万年筆での筆記に最適で、引っかかりはほとんどなく、滲まず裏抜けもほとんど無いのが特徴です。
画用紙(150~200 g/m2)
主にデッサンや工作用紙として使用されています。紙の表面には図画に適した凹凸が施されており、書くというよりは、筆記具の素材や色素を削り取る感覚であり、厚い割に水分に弱いという特徴がある用紙です。万年筆で筆記すると、引っかかりが強く、滲みますが、裏抜けはしません。
最適なノートの選び方(まとめ)
万年筆と相性の良いノートについて考察してきましたが、本記事の冒頭で挙げた、「文字が滲む」、「文字が裏抜けする」、「ペン先が引っかかる」という不満の3大要素を解決するためには、以下の2点に注目することが重要であることがわかりました。
- 最低でも坪量が80 g/m2は必要であること
- 紙の表面の凹凸が少なく特殊なコーティングが施されていないこと
この2点さえ押さえておけば、ノート選びで失敗することは少ないかと思います。ちなみに、再生紙比率を指摘する方も多いかと思いますが、やはりバージンパルプ(再生紙を含まない)製品の方が万年筆での筆記には若干優れているようです。
万年筆と相性の良いおすすめなノート
上述したポイントを押さえ、万年筆での筆記に最適であるノートをご紹介します。
ツバメノート(83.5 g/m2・ツバメ中性フールス紙)
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ツバメノート社は独自のフールス紙である「ツバメ中性子フールス」を開発しました。滲まず、引っかからず、ツルツルしすぎず、ざらざらもしていないという特徴を持ち、万年筆との相性も非常に良く、筆記の楽しみを最大限に引き出してくれる逸品です。
キャンパスハイグレード;MIO PAPER/CYO-BO PAPER(100 g/m2・上質紙)
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書き心地と手触りを追求した、ワンランク上のキャンパスノートです。坪量は圧巻の100 g/m2を誇り、万年筆での書き味は他の上質紙ノートを圧倒する逸品です。万年筆のみならず、ボールペンなどでの筆記にも支障なく、汎用性が高い高級ノートです。
SOLAノート(87.9 g/m2・バンクペーパー)
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SOLAノートは、趣味の文具箱という文房具専門誌から誕生しました。最大の特徴は、銀行の帳簿などに用いられている「バンクペーパー」を使用している点で、これは100年以上もの歴史を誇る三菱製紙が開発しています。ボンドペーパーは通常のパルプに加えて、コットンが少し入っているという特徴があります。書き味もさながら、インクの色がとても鮮やかに出るという良さもあります。
Dressco(87.4g/m2・バンクペーパー/90.7g/m2・スピカレイドボンド)
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紙の専門商社、株式会社竹尾のオリジナルステーショナリーブランドであり、ノートやメモパッド、メッセージカードも取り揃えています。デザイン性が非常に高く、万年筆と合わせて持っているだけでとてもお洒落で、万年筆と共にプレゼントする際にも最適です。紙はSOLAノートと同様にバンクペーパーを使用しているものと、25%以上のコットンを含むスピカレイドボンドに2種類があります。
グラフィーロ(81.4 g/m2・コーティング上質紙)
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万年筆の筆記特性をひたすら追求し、「ぬらぬら書く」をコンセプトに開発されたオリジナルペーパーを使用しています。紙は上質紙を基本としていますが、表面に万年筆の書き味に最適化されたコーティングを施しているため、薄いながらもインクの滲みや裏抜けが起こらず、非常に優れた書き心地を楽しむことができます。