構造や仕組みで違う!シャーペンの種類と特徴
文房具として有名で人気があるシャープペンシルですが、その構造や種類の違いがどれだけあるかご存知でしょうか?例えば芯の出し方だけでもノック式と回転式と言うように2つの違いがあります。
この2つのような違いをはじめとして様々な違いが存在しており、その違いを知ることは自分に合ったシャーペンを選ぶために必要なのです。こちらではシャーペンの構造や種類と特徴をご説明していきます。
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シャープペンシルと芯ホルダーの違い
まずシャーペンの構造の違いなどに触れる前に、シャーペンと芯ホルダーの違いをご紹介していきます。芯ホルダーを知らない方もみえると思いますが、見た目はシャーペンと変わらないものを想像してもらえばいいと思います。詳しくは後述にて。
大きな違いは使用できる芯の太さです。シャーペンの芯の直径はJIS規格で最も細いもので0.3mm、太いものだと2.0mmと定義されています。日本では0.5mmのものが最も多く使われており、芯の種類が最も多いです。
それに対し芯ホルダーは最も細いもので2.0mmとなっています。最も太いもの5.6mmとなっておりかなり太めです。
また構造的にもシャーペンは細い芯を扱うため、構造が少々複雑となっているのに対し、芯ホルダーはシャーペンの半分ほど機構で動いています。太い芯を扱うので、それほど複雑でなくとも動かせるのです。ここがシャーペンと芯ホルダーの違いとなります。
芯ホルダーとは?
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芯ホルダーについてもう少し詳しく触れていきましょう。
一般的には先述通り2.0mmの芯を利用しますが、2.5mm、3.0mm、3.15mm、3.2mm、4.0mm、5.5mm、5.6mmと太い芯を利用するものも存在します。
2.0mm芯を利用するものは製図、デッサンがなどで、3.0mm以上のものはデッサンなどに用いられる事が多くいです。そのため芯には黒だけでなく白や赤、青などの色が存在します。
また鉛筆のように何本も持ち歩かなくて済むというメリットもあることから一般用筆記用具として愛用する人、芯径が太いことから筆圧が高い人や弱視の人が使う場合も多いです。
チャックで芯をホールドするドロップ式だけでなく、シャーペンのようなノック式や回転繰出式といった機構も存在し、シャーペンとの定義の違いは曖昧ですが、「2.0mm以上の芯を利用するもの」「ドロップ式であるもの」のいずれかが該当すれば芯ホルダーと呼ばれることが多いです。
芯の先を尖らせたい場合は、カッターナイフややすり、あるいは専用の芯研器を用います。小型の芯研器を軸尾のキャップに内蔵している芯ホルダーもあります。
日本ではぺんてるや三菱鉛筆など11社で製造されていますが、スイスやチェコなど海外製も多く、特にラミーに代表されるドイツは製造している芯ホルダーの種類は多くなっています。
シャープペンシルの区分け
それではいよいよシャーペンの区分けへと進みましょう。シャーペンと言っても3つに区分分けすることができます。
まず「シャーペンのみの機能を有するもの」と「それ以外の機能も持つもの」、そしてシャーペンのみの機能の有するものでも、「筆記に使えるもの」と「製図に使えるもの」です。
一般的なシャーペンは、シャーペンのみの機能を有し、筆記に使えるものになります。このようなシャーペンを単機能タイプとなります。
それに対し製図に使えるものは製図用シャープペンシルと呼ばれます。またシャーペン以外の機能も持つものとして、ボールペンも内蔵した複合商品となる多機能ペンが存在します。
- 単機能タイプ
- 複合商品(多機能ペン)
- 製図用シャープペンシル
単機能タイプの構造の特徴などは後程説明させていただきます。ここからは複合商品と製図用シャーペンの説明をさせていただきます。
複合商品(多機能ペン)とは?
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複合商品は正式にはマルチ機能ペンシル、呼称としては多機能ペン、マルチペンともなります。
1977年にシャーボという製品が発売され。「右へ回すとシャーペン、左へ回すとボールペン。1本で2本分」のキャッチコピーで話題となり、その後有用性が認められ、各社から次々と多機能ペンが登場していきました。
低価格帯製品では製造コストが低く、操作も簡単なレバー式、高級モデルでは振り子式やツイスト式が主流となっています。
開発当初こそ黒ボールペンとシャーペンの2本の切り替えでしたが、最近は赤・青・黒とシャーペンのマルチ機能や、太いものだとさらに複数の色ボールペンとシャーペンが組み合わさったものもあります。
製図用シャープペンシルとは?
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製図用シャーペンは名称の通り、線を主に引く製図の技能作業に特化しています。製図は細かな作図作業が多いため、一般的なシャーペンと違い軸が強いものや壊れにくいものが多く品質も良くなっています。
ペン先端部の金属であるガイドパイプが一般的な物よりも長いのが特徴で、定規に当てやすくなっており、快適に正確な線を描くことができるようになっています。
芯は一般的なものと同じ0.3mmや0.5mm、0.7mmを使用用途に合わせて使い分けていますが、2.0mmという鉛筆と同じ太さのものを使うこともあります。2.0mmを使うものは主に先述した芯ホルダーと呼ばれ、この芯を使うときに先端を芯ホルダー用の削り機で削ります。
シャープペンシルの機構
それではシャーペンの種類の違いについてみていきましょう。今回の本題でもありますが、それは機構で分けることができます。しかし機構って何?と思ってみえる方もいるのではないでしょうか。
機構とはもともと機械内部の構造と言う意味を持っています。つまりこのシャーペンの機構となると内部の芯を繰り出す構造の事を指します。英語にしてみればメカニズム(mechanism)となります。
シャーペンには様々な機構があり、それによって特徴も違います。ここからは細かく分けて説明していきます。
ノック式(ラッチ式)シャープペンシルの種類と特徴
ノック式は一般的なシャーペンの中でも特に普及している構造になります。最上部に替え芯補充口の蓋を兼ねた押す部分であるノックボタンがあり、これを押すことにより、下側先端より芯が1mm弱程度繰り出されます。
この蓋を取ると消しゴムと、その下には芯を入れるパイプがあることが分かります。この消しゴムは芯を入れるパイプの栓の役目も兼ねています。
下側には芯を一定量出すためのチャックリングと芯を固定するための金属、もしくは樹脂で構成されたチャックがあります。口金内部にはチャック解放時に芯を止めるパッキンが付いているものが多くなっています。
1960年に開発された機構で、0.5mm芯の開発以降は爆発的に普及していきました。現在はその発展型である「ダブルノック式」、「サイドノック式」、「ボディノック式」の3種も存在しています。
サイドノック式の特徴
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軸のサイドにノックボタンがあり、このノックボタンを押して芯を出す機構になります。こうすることで芯を出すために親指をシャーペン先端のノックボタンに持っていく必要がなくなり、握り方を変えず芯の繰り出しが可能となりました。
ダブルノック式の特徴
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ペン先の出し入れを深いノック動作で行い、芯繰り出しを浅いノック動作で行う方式です。保管・携帯時のペン先・衣服などの破損や怪我を防ぐようになっています。
つまり使用していないときはペン先である口金部分まで内部に収納されている状態であり、深いノック動作でその部分の出し入れが可能となっているのです。そして小さいノックで芯の出し入れをします。
ガイドパイプを落下等の衝撃から保護することを目的として作られた機構です。
ボディノック式の特徴
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軸の中腹を浅く折り曲げる動作でノックが働き、芯が繰り出される機構です。先軸と後軸に分割された構造を持ち、先軸側は芯タンクとなっており、後軸側はノック棒が当たるすり鉢形状の部品が組み込まれており、接続部付近は関節上に可動性を持たせてあります。
折り曲げる動作をすると、ノック棒がすり鉢形状の厚い周縁部に押されて動作します。
つまり本体中央部にグリップ凹凸があり、そこをシャーペンを握っている状態の親指と人差し指で押して曲げることで芯が繰り出されます。そのため他のノック式と違い、芯を補充するときは中腹部で分解してパイプに入れる必要があります。
回転式(スクリュー式)シャープペンシルの特徴
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芯を固定する内側のパイプに螺旋状の溝を彫り、ねじの回転により芯を繰り出す機構を用いたものです。1960年代のノック式の登場以前はこちらの機構が使われていました。
ノック式が主流となった現在も機構の信頼性から一部のメーカーはこの機構を採用し続けています。現在の機構は改修され部品の1部を交換すれば同じペンの太さで異なる太さの芯を使用できるようになっています。
シャープペンシルの特殊機構
ここまでは基本的な機構について説明させていただきました。現在はこれに加え、メーカーごとに様々な工夫が凝らされた特殊機構が内蔵されているものが多く、それぞれに個性を出して開発・製造をしています。
ここからは現在扱われている特殊機構を説明させていただきます。
振り子式の特徴
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シャーペン本体を振るだけで芯が出てくる機構が内蔵された製品です。内部に重量のある金属パイプが仕込まれており、ペンを振ることによってこれを上下させ金属パイプの反動で繰り出し機構を作動させます。
金属パイプの分、振り子式でない種類より重く握りが太めのものが多いです。芯を出すのに持ち替える必要がないため、安定したリズムでの筆記が可能となっています。
元々は機構の関係上、比較的高価でしたが、最近は普及したことにより100円ショップなどでも売られるようになりました。
オートマチック式の特徴
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こちらは書きながら自動で芯が送り出される機構となっています。そのため使うときにはノックする必要がなく、ノンストップで筆記ができるため一部の人に人気があります。
自動芯回転機構の特徴
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芯が紙に当たる度にシャープメカのついたギアが回転し、芯を均等に減らす仕組みがつています。ペン先が回転することにより常に尖った部分が紙に当たり、字が太くならないと言うのが特徴です。
クッション式の特徴
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強い圧力がかかると芯の固定機構がバネの様にスライドして圧力を和らげ芯が折れるのを防ぐようになっています。メーカーによってはセーフティスライド機構などとも呼ばれています。
パイプスライド式と併用し、クッション動作を芯の露出に利用するものもあります。パイプスライド式の機構については後述にて。
ゼロシン機構の特徴
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環境に配慮し、残芯を少なくしたシャーペンです。通常のシャーペンは構造上、1.0cm程度の芯になると、内部の芯を固定する部分が働かず、筆記することが困難となっていました。
この機構の開発により極限まで芯を使い切ることが可能となりました。当初は1.0mmまで使い切るタイプでしたが、現在はコストダウンなどにより3.5mmまでに抑えた商品が多くなっています。
決まった機構名称は無く、「ゼロシン」は商品名となっているのですが。シャーペンを愛用する方々からはこの名をとってゼロシン機構と呼ばれています。
シャープペンシルの口金(ガイドパイプ)
最後に口金部分の違いをご紹介します。シャーペンは芯が出てくる先端部分に口金と呼ばれる部品が付いており、その内部には芯が真っ直ぐ出てくるのを補助するガイドパイプと言うものが付いています。
この口金とガイドパイプの関係で2つに分類分けすることができるのです。そちらをご説明させていただきます。
固定パイプ式の特徴
固定パイプ式は軸の端末や側面にあるノックボタンを押して芯の出し入れをする形式のもので、口金とガイドパイプは一体化しているものになります。
パイプスライド式の特徴
ペン先のガイドパイプをスライドして口金内部に格納できる方式です。
ペン先を押し戻しながらノックするなのどして格納でき、保管・携帯時のペン先・衣服などの破損や怪我を防ぐほか、筆記面にガイドパイプが触れスライドするため、芯をほとんど露出させずに筆記でき、芯が折れるを防ぐ役割も持っています。