包丁とは?
普段何気なく使っている「包丁」。あなたは包丁のことについてどのくらいご存知ですか?
「包丁はいつから使われてきたのか?」「包丁の語源は?」「包丁とナイフの違いは?」このように、意外と知らないことが多い包丁について詳しくご説明します。
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包丁の定義
そもそも包丁とは調理器具の1種であり、食材を切ったり加工する時に用いる刃物を指します。つまり、調理に使う刃物は全て「包丁」と呼べるので、定義としては非常に広い言葉です。
一般的には食材を扱うことを専門に作られた刃物を包丁と言いますが、包丁は食材以外にも使えますし、農業用のカマなどの刃物も調理に使用出来ないこともありません。
ですので、刃物のジャンルとしては包丁とナイフに明確な違いはありません。食材を切ったり加工するときに使う刃物を幅広く「包丁」と呼んでいます。また、英語で包丁はキッチンナイフ(kitchen knife)と呼びますが、ナイフ(knife)というだけでも伝わります。
包丁の語源
包丁とは同音漢字の書き換えであり、そもそもは「庖丁」と書きました。この庖丁の語源には諸説あり、その中の1つが料理人の名前が由来という説があります。
「荘子」とよばれる書物の養生主篇に登場した料理人が、魏の恵王の御前で牛を見事に解体したことで恵王を感銘させるという記述があります。その料理人の名前が「庖丁」であり、彼の料理刀を包丁と呼ぶようになったことが由来という説です。
しかし、最も有力視されている説は、料理人や調理人を指す言葉から来たという説です。「庖」とは肉を包む場所、つまり台所を指し、「丁」とは仕事に従事する人を指す言葉です。つまり、「庖丁」とは料理人を指す言葉であり、日本でも平安時代までは料理人を指す言葉として使われていました。
そこから、料理人が使う包丁を「庖丁刀」と呼ぶようになり、室町時代の頃から刀が略され、料理に使う刃物を「包丁」と総称するようになったと言われています。
包丁の種類
包丁の種類には大きく分けて2種類があります。それは「和包丁」と「洋包丁」です。それ以外にも「中華包丁」や「冷凍切り包丁」、「ケーキナイフ」、「シェルナイフ」など特殊な用途で使用される包丁は数多くあります。
ここでは、使用頻度の高い「和包丁」と「洋包丁」について、以下で詳しくご説明します。
和包丁
我々日本人がイメージする包丁は「和包丁」です。和包丁とは、日本人が日本料理の為に開発した包丁です。和包丁の特徴としては、片刃の包丁と両刃の包丁が混在しています。
片刃とは、裏面が平面で表面のみ切れ刃という斜めの研ぎ面の刃物を指します。片刃の包丁は左右非対称ですので、右利き用と左利き用の区別があります。両刃とは刃の断面が左右対称のV字になっている刃物を指します。
以下に代表的な和包丁を記載しますので、参考にしてみて下さい。
- 三徳包丁(文化包丁)
- 刺身包丁
- 出刃包丁
- 菜切り包丁
- 薄刃包丁
洋包丁
洋包丁とは、ヨーロッパ生まれの包丁のことです。西欧人が西洋料理のために作った包丁であり、海外ではキッチンナイフと呼ばれています。洋包丁は多くが両刃である点が特徴です。
また洋包丁は特殊な包丁を除けば、ほとんどが同じ形をしています。この点は和包丁と大きく異なる点であり、使い勝手の為に大きさは変えても刃の形までは変えていません。洋包丁には基本のフォルムがあり、そのフォルムに大小があるだけのシンプルな包丁です。そのシンプルさから、扱いが簡単な点がメリットの包丁です。
以下に洋包丁の代表的な種類を記載しますので、参考にしてみてください。
- 牛刀
- 筋引
- 洋出刃
- ペティナイフ
- パン切り包丁
包丁の構造
包丁の構造は和包丁と洋包丁で異なりますが、構造による種類分けの基準はありません。しかし一般的には、和包丁は「霞」と呼ばれる「片刃で地金に鋼を張り合わせた」構造が多く、洋包丁は両刃で全鋼の構造がほとんどです。
もちろん、洋包丁でも「霞」の構造を持っている包丁もありますし、和包丁でも「両刃で全鋼」の包丁もあります。ここでは、一般的な和包丁と洋包丁に採用されている構造についてご説明します。
霞(かすみ)
片刃の和包丁で最もポピュラーな構造が霞です。軟鉄と鋼を接合し、焼き入れして鍛えられた刃物です。扱いが簡単でコストが低いことから多くの和包丁に採用されています。
刃が欠けた時でも大事に至ることが少なく、ひずみも直しやすいので、研いだり修理をしながら長く使うことが出来ます。
両刃で全鋼
洋包丁のほとんどが「両刃で全鋼」の構造で出来ています。単一の素材から出来ているのが特徴であり、熱処理と鍛錬によって硬度が増しています。材質の違いによって切れ味や錆易さ、価格に反映されます。
包丁の素材
包丁の素材として使われる「鋼」には大きく分けて「炭素系鋼」と「ステンレス鋼」の2種類があります。「炭素系鋼」の包丁は鋭い切れ味と研ぎやすさが特徴ですが、錆び易いという弱点があります。また「ステンレス鋼」は錆びにくいので手入れは楽ですが、研ぎにくいという特徴があります。
このようにそれぞれ素材の特徴がありますが、単一素材で作られる「全鋼」だけではなく、材質の異なる鋼を複合して作る「割込」という製法も一般的です。「割込」は単一素材では得られない特徴を持たせることが出来ます。
また近年では非常に硬度の高い「セラミック製」の包丁も人気が出ています。セラミックの包丁は切れ味に優れており、持続することが特徴ですが、研ぎにくいという特徴があります。