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包丁の正しい研ぎ方を徹底解説

包丁の正しい研ぎ方を徹底解説

包丁には様々な種類や素材があり、それぞれに適した研ぎ方があります。日本の家庭で最も一般的に使われている三徳包丁(文化包丁)の研ぎ方を基本とし、両刃包丁や片刃包丁、さらにはセラミック包丁やチタン包丁といった素材による研ぎ方の違いや砥石の選び方を解説していきます。

最近包丁の切れ味が悪いけど、どうやって包丁を研いだら良いの?という人は、是非このページを参考にして新品の包丁のような切れ味を取り戻してみてはいかがでしょうか。

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包丁を研ぐ時に準備するもの

包丁を研ぐ準備

最近では「シャープナー」と呼ばれる便利な包丁研ぎ器が登場していますが、シャープナーの本質は「包丁を研ぐ」ということではなく、包丁の刃先を荒らすことで食材への食いつきを良くするだけのもの、つまり「包丁を研ぐ」のであればシャープナーではなく、砥石を使用して正しい包丁の研ぎ方で研ぐ必要があります。

そこで、包丁を研ぐために準備するものは以下の4つ

  • 包丁
  • 砥石
  • 布巾(汚れるので不要なものを準備)
  • 砥石が入るサイズの容器

砥石は使用する前に水に漬け込む必要があるので、風呂桶やバケツなどを利用します。また、包丁を研いでいる際に砥石が滑らないよう、砥石の下に布巾を敷きますので、汚れても良いものを用意しておきましょう。

日常の包丁研ぎなら砥石は「中砥石」でOK!

包丁を研ぐための砥石には大きく分けて「荒砥石・中砥石・仕上げ砥石」の3種類があります。こだわって包丁を研ぐのであれば、荒砥石で包丁を整形し、中砥石で包丁を研ぎ、仕上げ砥石によって包丁を仕上げるという方法もあります。

しかし、「ちょっと切れ味が悪くなった」という時に、日常的に包丁を研ぐのであれば中砥石が1つあれば問題ありません。高価な包丁を研ぐときや、切れ味にこだわって包丁を手入れしたい人は、3種類の砥石を持っておいても良いでしょう。

>>砥石の種類と選び方について詳しくはコチラ

包丁の研ぎ方

包丁の研ぎ方

ここからは、日本の家庭で最も一般的に使われている三徳包丁(文化包丁)をベースに包丁の研ぎ方を解説していきます。三徳包丁というのは、以下のような形の包丁のことを言います。

包丁の刃は大きく分けて「両刃」と「片刃」に分けられます。俗に和包丁と呼ばれるのは片刃の包丁であり、刺身包丁や出刃包丁と呼ばれるものが片刃の包丁となります。

>>包丁の種類についてはコチラ

みなさんの持っている三徳包丁は両刃の包丁であり、洋包丁の一種となります。三徳包丁の研ぎ方を覚えれば、一般的な洋包丁は同じ研ぎ方で研げるようになるので覚えておきましょう。

では、包丁の研ぎ方を基本の手順に沿って解説していきます。

STEP.1:砥石を水に漬け込む

砥石を水に漬け込む

桶やバケツなどに砥石が浸かる程度の水をはり、そこに砥石を30分程度つけておきます。砥石の種類によってつけておく時間は変わりますが、一般的なものであれば15〜30分程度で構いません。包丁研ぎに使用する砥石に取扱説明書などが同封されていれば、その説明に従ってください。

なぜ、包丁を研ぐ際に砥石を水に漬ける必要があるかというと、日本の人工砥石は「水砥石」と呼ばれるもので、水を使用して滑りやすくしながら使用する必要があるからです。人工砥石の多くは水はけが良く、あらかじめ水を染み込ませておかないと、後で水をかけても砥石がすぐに水を吸収してしまうため、漬け込む必要があるのです。

そのため、高価な天然砥石であれば、水に漬け込む必要がないものもあります。

STEP.2:砥石を布巾の上にセット

砥石を布巾の上にセット

包丁研ぎというのは、砥石と包丁を摩擦することで包丁の刃を削ることです。そのため、キッチン台の上やテーブルの上に直接砥石をおいて包丁を研ぐと、包丁を押し付けながら削る力で砥石が動いて正しく包丁が研げないだけでなく、怪我をしてしまう場合もあるのです。

そんな時、滑り止めに便利なのが「濡らして固く絞った布巾」です。

まずは、平らなところに布巾を敷いて、その上に砥石を置き、試しに包丁の刃の部分を手前にして砥石の上に包丁をあてがってみましょう。

この時、砥石が薄すぎると包丁を持った手に布巾が当たってしまうことがあるかもしれません。その場合は砥石の下に畳んだ新聞紙などを敷いて高さを調整しましょう。高すぎると包丁を研ぐ時にバランスを崩しやすくなるので、手が当たらない高さであれば十分です。

STEP.3:包丁を研ぐ時の正しい角度とは?

包丁を研ぐ時の正しい角度

両刃包丁といのはつまり、包丁のオモテ面にもウラ面にも刃がついている包丁のことですが、両面が均等な角度担っているというわけではなく、片側の深度がやや深くなっている形状になっています。

包丁を寝かせる角度については、包丁を握って右側を研ぐ時はコイン3枚分程度を挟める角度で、握って左側を研ぐ時はコイン2枚分程度を挟める角度で研ぐことが重要とります。簡単に言うと、包丁の左側の方がやや鋭くなっている状態を目指します。

一般的には「両刃包丁は砥石に対して15度で研ぐ」とされていますが、15度というのがどれくらいの角度なのかわからないという人は、一度コインを挟んで角度をチェックしてみると良いでしょう。

包丁を研ぐ時の正しい角度

また、包丁を研ぐときには上の図のような砥石に対する向きの角度も重要です。砥石に対して45度の角度をキープしながら動かして研ぐことを覚えておきましょう。

STEP.4:包丁の握って右側を研ぐ

包丁の研ぎ方

まずは、包丁を握って右側を研ぎます。砥石の上に包丁の刃が自分側に向くように置き、包丁を握った親指で刃の根元を抑え、左手で刃の研ぎたい部分を押し付け、包丁の角度に注意した基本姿勢を身につけましょう。

包丁の刃を根元から切っ先まで一度に研ぐことはできないため、3分割にして3回に分けて研ぐことが大切です。

包丁を研ぐ順番としては、包丁の柄に近い部分(画像①)を1番最初に研ぎましょう。奥に押して研ぐときは力を込めて、手前に引いて研ぐときは力を抜いて、1秒間に2往復程度のペースで往復50回程度が目安です。

柄に近い部分が終わったら中央部分(画像②)を同様に研ぎましょう。

切っ先部分(画像③)を研ぐ際は、カーブしている形状の包丁であれば、カーブしている曲線を意識して研ぎましょう。

包丁を研ぐ際のポイントをまとめておきます。

  • 根元→中央→切っ先の順に研ぐ
  • 1秒2往復ペースで50往復が目安
  • 切っ先は曲線に合わせて研ぐ

包丁を研いでいる時は、砥石の表面が乾いてしまわないように時々水をかけて研ぎましょう。10往復に1回程度、砥石の表面を湿らせるイメージで水をかけてあげます、砥石のカスは洗い流さないようにしましょう。

STEP.5:包丁の握って左側を研ぐ

包丁の握って左側を研ぐ

包丁の右側を研いだら、包丁の左右を反転させて左側を研いでいきましょう。ここで思い出して欲しいのは、両刃包丁は左右の刃の角度が違うということです。

包丁の握って右側を研いだ時よりも寝かせるようにして包丁を研いでいきます。

左側を研ぐ時の包丁の握り方は、一般的には左手でグリップを持って、包丁の刃が自分側を向くように研ぎますが、左手で包丁を操作するのが苦手という人は右手で握って研いでも良いでしょう。

その場合は、右手の中指と薬指と小指でグリップを握り、人差し指と親指で刃を押さえます。左手は包丁の背を押さえてしまいがちですが、しっかりと研ぎたい部分の刃を押さえましょう。

研ぎ方自体は包丁の右側を研いだ時と同じです。

STEP.6:包丁の両面を研いだら刃返りの確認

刃返りの確認

包丁を研ぐと「刃返り」という現象がおきます。刃返りというのは、包丁を研ぐことによって刃の最も薄くなった部分が、包丁を砥石に押し付ける力で反り返ってしまう現象です。数回研いだ包丁の刃先を軽く触れてみると、引っかかりを感じることができると思います、これが刃返りという現象です。

本来であれば、この刃返りをとる為に、目の細かい仕上げ用の砥石を使い分けるのですが、家庭用の中砥石だけで包丁を研ぐ場合は、砥石を使って刃返りをとる必要があります。

刃返りがおきている方の刃を砥石の角に当てて、砥石の角に2〜3回程度撫でるように擦って取りましょう。何度も擦りすぎたり力を入れすぎると刃先の角度が変わってしまい包丁の切れ味が鈍くなりますので、包丁の自重だけで研ぐようにすると綺麗に取れます。

刃返りを確認する際は刃に直接触れる為、指を切らないように注意してください。

STEP.7:綺麗に洗って正しく保管する

刃返りをとったら包丁研ぎは完了です。これで熟れすぎたトマトでもスパッと切れるほど包丁の切れ味が回復しているでしょう。しっかりと包丁を洗って、包丁についた砥石のカスを洗い流したら、ちゃんと乾燥させて正しい保管方法で保管してあげましょう。

毎週のように包丁を研ぐのは大変ですが、せめて3ヶ月に1回程度は研いであげてください。

>>安全でおしゃれな包丁の収納方法

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包丁を研ぐ時のポイント

包丁を研ぐ時のポイント

包丁の研ぎ方がしっかりと理解できたところで、ここからは包丁研ぎをもっと上手に行う為のコツや、覚えておきたいポイントについて解説していきます。

今よりもっと包丁の研ぎ方が上達する為に知っておいて欲しいことを紹介しますので、ぜひしっかりと目を通して実践してみてください。

砥石から出るカスは流すべき?

包丁を研ぐと、砥石のカス(砥クソ・砥汁・粒子)が出ます。この砥クソは流すべき?と疑問を抱く人は多いかもしれませんが、包丁を鋭く研ぐためにはこの砥クソがとても大切となります。包丁を研ぐための砥クソ出し専用砥石まであるほどです。

簡単に説明すると以下のようになります。

  • 包丁を鋭くしたい
    砥クソが砥石の上に出ている状態で包丁を研ぐ
  • 包丁を滑らかに仕上げたい
    頻繁に砥クソを流し去りながら包丁を研ぐ

目に見えるほど包丁の刃がガタついている状態から研ぐなら砥石のカスを残したまま研ぎ、包丁研ぎの最後の仕上げは頻繁に砥石のカスを流しながら研ぐということになるので覚えておきましょう。

砥石は全面を使って研ぎましょう

砥石の中央部分ばかりを使用して包丁を研いでいると、砥石が部分的に削れてしまい、だんだんと曲面のようになってきてしまうため、包丁の刃が鋭利になりにくく正しい研ぎ方が実践できません。

そのため包丁を研ぐ際は必ず「砥石の全面を使って研ぐ」ということを意識しましょう。

また、できることならば砥石を研ぐための砥石を用意して、砥石の表面をフラットな状態にしてから包丁研ぎを始めるのがおすすめです。

砥石を研ぐための砥石が存在しない場合は、目の細かいコンクリートブロックなどで砥石を擦ってフラットな状態にすることもできますが、砥石を研ぐ専用の砥石を購入する方が綺麗に仕上がります。

刃によって違う包丁の研ぎ方

刃によって違う包丁の研ぎ方

片刃か両刃かによって包丁の研ぎ方は大きく違います。間違った研ぎ方をしてしまうと刃を痛めてしまうことになるので、片刃包丁・両刃包丁の研ぎ方のポイントをチェックしていきましょう。

片刃包丁の研ぎ方のポイント

片刃包丁の場合は刃の両面を研ぐ必要はありません。包丁の背の部分に当たるシノギを使って最初に砥石の粒を出す場合は、右面を下にして刃先の角度に合わせて20回ほど前後させます。それが終わったら左面を下にして研いでいくやり方になります。

片面を研ぐだけでいいので、両面を研がないように注意してください。

両刃包丁の研ぎ方のポイント

両刃包丁の場合は両面を研ぐ必要があります。片刃包丁の場合は砥石に対してほぼ平面で研いでいきますが、両刃包丁の場合はコイン3枚分ほど浮かせ角度をつけて研いでいきます。

両面をほぼ同じ程度で研ぐ必要があるので、片面だけやり過ぎないように注意が必要になります。

包丁の素材によって違う砥石の選び方

包丁の素材によって違う砥石の選び方

包丁につかっている素材によって砥石は変える必要があります。当然ですが素材によって硬さなどの性質が違う為、素材によって適した素材の砥石を選ぶ必要があります。

鋼包丁を研ぐ場合

鋼は硬い素材なので、それに合わせて硬い素材を使った砥石にする必要があります。やわらかめの砥石でも研ぐこと自体はできますが、鋼は硬いので砥石の表面が削れやすく平面でなくなりやすいので、砥石の手入れである面直しの頻度が増えてしまいます

鋼を使った包丁を研ぐ時は、硬い素材として有名なセラミック砥石との相性が良いです。

ステンレス包丁を研ぐ場合

硬いと思われがちなステンレスですが比較的硬度が低めの素材であり、特に包丁で多いモリブデン・バナジウム鋼は金属の粘りを向上させています。そういった理由から一般的なやわらかめの砥石との相性が良いです。

セラミック砥石のような硬い砥石でも研ぐことはできますが、研いでいる感覚が薄くやわらかめの砥石に比べて砥石に当てる回数を増やす必要が出てきます。

セラミック包丁を研ぐ場合

セラミック包丁は非常に硬度が高いので一般的な砥石では研ぐことができません。セラミック包丁を研ぐ時はダイヤモンド砥石が必要になります。ダイヤモンド砥石ならセラミックの硬度に負けることなくしっかりと研ぐことができます。

しかしセラミック包丁が刃欠けをしてしまった場合はダイヤモンド砥石を使用してもかなり手間がかかってしまいます。製造メーカーや販売店で修正を依頼したほうが手間もコストも軽減できるので、セラミック包丁を購入する際はサポートについて確認しておくと安心です。

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