ストーカー行為の規制法(防止法)の法律
ストーカー(つきまとい行為)という言葉が登場した1990年代当時は、ストーカー行為に対する明確な取り締まりが出来る法律がありませんでした。しかしストーカー被害の増加を食い止めるため、2000年に制定されたのがストーカー規制法です。ここではそんなストーカー規制法について解説していきます。
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ストーカー規制法(防止法)の概要について
ストーカー規制法(防止法)の法律による対象とは
ストーカー規制法という法律は、ストーカー行為に対する取り締まりを行う法律です。規制の対象となる行為の動機に関しては、恋愛感情に関するものに限定されています。実際に規制の対象となる行為についてですが、「つきまとい行為」として以下の8つが対象となります。
・住居、勤務先、学校その他通常所在場所でのつきまとい・待ち伏せ・進路立ちふさがり・見張り・押しかけ
・監視している旨の告知行為(行動調査など)
・面会、交際、その他義務のないことを行うことの要求
・著しく粗野な言動、著しく乱暴な言動
・無言電話、連続した電話、FAX(ファックス)、メール送信
・汚物・動物の死体等の送付等
・名誉を害する事項の告知等
・性的羞恥心を侵害する事項の告知等
これらの行為を反復して行った場合が規制の対象となっています。
ストーカー規制法(防止法)の改正について
ストーカー規制法は、「桶川ストーかー殺人事件」がきっかけとなり、2000年の11月24日に制定された法律です。制定からはストーカー行為の規制に関して、一定の効力を発揮してきましたが、2012年11月に起きた、「逗子ストーカー殺人事件」がきっかけとなり、改正案が出されました。
これによって、2013年6月26日に成立以来初の改正案が衆議院で可決され、以下のような項目が、「つきまとい行為」として追加されました。
・執拗なメールを付きまとい行為に追加
・被害者の住所地だけでなく、加害者の住所地などの警察も警告や禁止命令を出せるようにする
・警察が警告を出したら被害者に知らせ、警告しない場合は理由を書面で通知する
同法律の改正のきっかけとなった「逗子ストーカー殺人事件」では、2012年3月から4月上旬にわたって、合計1089通にも及ぶメールの送信があったため、被害女性はその旨を警察に相談したが、当時のストーカー規制法では、メールの連続送信は「つきまとい行為」として禁止されてはいませんでした。
さらに内容が「婚約破棄による慰謝料の要求」であったため、脅迫罪などが適用されずに、警察は立件せずに様子をみていました。その矢先に殺人事件へと発展してしまったことが今回の改正の大きなきっかけとなっています。
ストーカー規制法(防止法)の細かい部分
ストーカー規制法(防止法)の罰則規定について
ストーカー規制法による罰則規定は、警察への相談をすることから始まります。まずは、つきまとい行為を繰り返していることを警察に申し出ます。警察署長などより、ストーカー行為を止めるように警告を出します。
もしも相手がこれに従わずにつきまとい行為を繰り返した場合には、公安委員会よりその行為をやめるように禁止命令を出すことができます。
この禁止行為に従わず、さらにつきまとい行為を繰り返した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。これ以外にも相手方を告訴して処罰を求めることも可能です。この場合には、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
ストーカー規制法(防止法)による検挙(逮捕)までの流れ
ストーカー規制法によって相手方が逮捕されるまでの流れですが、基本的には上記に記載した、禁止命令を無視して迷惑行為を繰り返した場合、逮捕されることとなります。
もしもこういった迷惑行為に対する警察からの警告や、公安委員会からの禁止命令などを飛ばし、いきなり相手を検挙、逮捕に持ち込むためには、相手を告訴する必要があります。これによって相手方は検挙され、捜査の対象となり、立件されれば逮捕へといたります。