災害に備える衣類の選び方
人間の生活で最も重要な3要素「衣」「食」「住」。衣類の用意が必要だとどの災害マニュアルにも記載されています。しかし、どんな衣類をどれだけ用意しておくかの記載はされていないことがほとんどです。そこで災害に備えるための衣類の選び方のポイントをご説明します。
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防災セットに衣類は必要?
国や多くの地方自治体が作成している防災グッズのマニュアルには、非常持ち出し品や備蓄品として衣類を準備しておくことを推奨しています。
しかし、衣類の内容に関しては下着や靴下等のインナー類の記載のみであり、上着やズボン等に関してはほとんど言及されていません。
実際に衣類を防災グッズとして用意している家庭は、全体の10%にも満たないと言われています。
災害が起きても、住居が無事であれば衣類の用意は不要かもしれませんが、避難所生活を余儀なくされる大規模災害に備えるには、衣類が必要となってきます。
地震などでは、住居が倒壊していれば衣類を持ち出すことはもちろん出来ませんし、倒壊していなくても余震の危険性から立ち入りが難しかったり、クローゼットが開かないことも多々あります。
避難所生活では長期間の入浴ができない可能性が高く、衣類の準備が出来ていなければ、被災時の衣類を着続けなければなりません。
避難生活が長引けば衣類が支給されますが、それまでは同じ服を着続けることになります。ですので、衣類の備えが必要なのです。
災害に備える衣類選びのポイント
では、災害に備えるためにどのような衣類を、どのくらい用意すればよいのかについてご説明します。
衣類は他の防災グッズよりも嵩張りますので、必要最低限の量が重要となります。
衣類を選ぶポイントはこの2点が重要です。
- 防寒性に優れた衣類
- 動きやすい衣類
これらの点に注意して防災の為の衣類を選びましょう。詳しいポイントについてご説明します。
最も重要なのは防寒
災害時における避難生活で最も気を付けなければならない点は、体温の保持です。夏に被災した場合でも昼夜の気温差が激しかったり、雨などで濡れることも想定されるので油断できません。
ヒトは、ホメオスタシスという恒常性が備わっており、一定の体温に保たれています。しかし、厳しい寒さや雨などで体温を奪われ続けるとこの機能が低下し、低体温症になります。
一般的には体温が35度を下回ると、低体温症と判断されます。体に様々な不調をきたし、最悪のケースでは死に至ることもある危険な状態です。
そうならない為にも用意しておきたいのが防寒性に優れた衣類です。しかし、セーター等の嵩張る衣類を非常持ち出し袋に入れておくことは現実的ではありません。
防寒性に優れ、嵩張らない衣類である点が重要です。ウインドブレーカーなどが優れていますが、最もおすすめの防寒性の高い衣類は、カッパです。
雨に濡れることもなく、風を遮断するので防寒性にも優れています。ポンチョタイプのカッパよりも、上下に分かれたズボンタイプのカッパがより防寒性に優れているのでおすすめです。
嵩張らないので非常持ち出し袋に入れておくことをおすすめします。
動きやすさを重視した衣類
避難所生活はずっと寝ているだけの生活ではありません。意外と忙しく動き回る必要が出てきます。
避難はもちろん、救助活動や生活物資の調達、復旧に伴う労働や手続きなど、意外と忙しくて疲れる毎日となります。ですので、備えておく衣類を選ぶ上で「動きやすさ」が重要となります。
動きやすい衣類のおすすめは、ジャージなどのスポーツウェアです。動きやすさのみならスウェットでも構いませんが、ジャージには被災した際に役立つ点が多くあります。
- 動きやすく、寝やすい。
- 伸縮性が高く、色んな作業をしやすい。
- 見苦しくない程度のファッション性。
- 濡れても、洗っても綿製品より乾きやすい。
これらの点から、ジャージを非常持ち出し袋や二次持ち出し袋に入れておくことをおすすめします。
衣類は何日分必要?
結論から申し上げると、ジャージを1セットと下着を3日分とカッパを用意しておけば安心です。
ジャージは、動きやすく寝やすい万能な衣類であり、汚れても洗濯しやすく、すぐに乾きます。ですのでもしもの為に上下1セットのジャージを用意しておけば大丈夫です。
また、下着に関しては3日分の備えが必要です。避難所生活が長引けば下着の支給もありますが、すぐには始まらないので用意しておく必要があります。
3日分あれば、着まわせますし、水の配給が落ち着けば洗濯することも可能になります。
念には念を入れてたくさん用意しておきたい気持ちも分かりますが、衣類は嵩張りますので、これくらいで十分です。