殺虫剤の種類と目的別の上手な選び方
私たちが日ごろから使用している殺虫剤には、色々な種類のものがあります。殺虫剤には作用性の違いや、使用方法の違いによって正しい殺虫剤を選ばないと効果が得られません。また、殺虫剤には、ゴキブリ・蚊・スズメバチ・クモ・アブラムシ・ハダニなど屋内や屋外に生息する害虫に合わせた殺虫成分が含まれています。
ドラッグストアなどで種類豊富に並んでいる殺虫剤の中から、殺虫剤を選ぶときにはそれぞれの殺虫剤の特徴をよく理解してから購入すれば、害虫で悩まされることもありません。自分が殺虫剤を使用する場所と、使いやすいタイプを見つけられるように、ここでは殺虫剤の種類と目的別の上手な選び方を詳しくご紹介します。
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殺虫剤の種類
殺虫剤の種類は様々なので以下に分けて解説します。
- 作用性の違い
- 使用方法の違い
適切な殺虫剤の種類を選び、使用しないと効果が得られません。殺虫剤のそれぞれの特徴をよく理解した上で、害虫のタイプに合わせて使用しましょう。
殺虫剤の作用性の違い
殺虫剤の作用性の種類は主に以下の4種類に分けられます。
- 接触剤
- 解毒剤
- 浸透移行性剤
- 誘殺剤
ここでは、これらの殺虫剤の4種類の作用性について詳しくご紹介していきます。
接触剤
殺虫剤の多くはこの接触剤に属しています。直接害虫にかからなければ効果のあらわれない薬剤などもありますが、多くは薬剤を散布された場所に害虫が触れても効果があらわれます。ハエ成虫、蚊成虫、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ(ナンキンムシ)、イエダニ、マダニなどのほか、クモ・スズメバチなどの幅広い害虫を直接退治します。
主な商品としては、住友化学園芸 スズメバチエアゾール・カメムシエアゾール、アース製薬 アースジェット、キンチョー キンチョールなどがあります。
食毒剤
食料に薬品を混合して害虫に食べさせるタイプのものです。液状、ジェル状、ペースト状のもの、現場で食料と混合して毒餌や毒団子とするもの、容器入りのものなど色々なタイプのものがあります。散布された葉や、殺虫成分を含んだ毒餌などを食べることによって害虫が退治されます。
食害は、害虫に対して速効性があるので被害防止に役立ちます。食毒剤の中には、浸透移行性剤や誘殺剤などが含まれ、ゴキブリ、アオムシや毛虫などの害虫に効果があります。主な商品としては、住友化学園芸 ゼンターリ顆粒水和剤や、アース製薬 ブラックキャップなどがあります。
浸透移行性剤
浸透移行性剤は、殺虫効果だけでなく予防的効果(殺虫効果の長い残効性)が特徴の薬剤です。食毒剤の一種ですが、普通の薬剤は植物に吸収されても植物体内を移動しませんが、根や葉から吸収されて移動する薬剤を浸透移行性剤と言います。
アブラムシやハダになどの家庭園芸用の殺虫剤としてよく使われており、主な商品では住友化学園芸 オルトラン粒剤・オルトラン水和剤や、フマキラー カダンプラスDXなどがあります。
誘殺剤
食毒剤の一種ですが、害虫が好む餌の中に薬剤を混ぜ、おびきよせて退治する薬剤です。夜間活動するゴキブリやナメクジ、ネキリムシ、ヨトウムシなど、直接見つけて退治するのが難しい害虫を退治する薬剤に多くみられます。主な商品には、キンチョー コンバット、ハイポネックス ナメトールなどがあります。
殺虫剤の使用方法の違い
殺虫剤の使用方法は主に以下の5種類があります。
- スプレー(エアゾール)タイプ
- 液体タイプ
- 粉状タイプ
- くん煙(くん蒸)タイプ
- 設置型タイプ
いずれのタイプの殺虫剤も殺虫効果に優れていますが、殺虫対象となる害虫によってはあまり効果が見られなかったり、速効性や残効性などに違いがみられます。ここでは、これらの5種類のタイプについてそれぞれの特徴について詳しく説明していきます。
スプレータイプ(エアゾール)
スプレータイプ(エアゾール)の殺虫剤は、LPG(液化石油ガス)やDME(ジメチルエーテル)などの噴射剤の圧力を利用して、 有効成分を含む殺虫剤を空中に微粒子状に噴霧して害虫を退治します。様々な種類が展開されており、最も商品数が多いスプレータイプの殺虫剤は、手軽で便利に使えるという点が大きな特徴と言えます。
害虫に直接散布するタイプや、薬剤を空間に噴射して害虫を退治します。ゴキブリやハエなど素早い害虫におすすめです。ただし、発生数や発生範囲が限られている場合のみ有効なタイプの殺虫剤で、害虫が大量発生した場合などは使えません。
また、効果の持続期間も他のタイプのものに比べても短いです。主な商品としては、キンチョー キンチョール、フマキラー ゴキブリジェットプロ、アース製薬 凍らすジェット冷凍殺虫などがあります。
液体タイプ
液体タイプの殺虫剤は大きく分けると、水で希釈するものと、そのまま使用するもの2つにタイプに分かれます。液体タイプは、害虫の発生数が多い場合や、発生範囲が広い場合などに有効で、屋外に散布して使用します。また効果の持続期間が長く、忌避効果もあるのでアリなどの屋外の害虫におすすめです。
ただし、広範囲の散布には噴霧器が必要になってくるので、手軽に使えるという点ではほかの殺虫剤には劣ります。主な商品としては、住友化学園芸のアリトールやアース製薬のアリの巣徹底消滅中、フマキラー カダンプラスDXなどがあります。
粉状タイプ
現在、主に使われている粉状タイプの殺虫剤は、ピレスロイドのフェノトリンを有効成分とする粉剤であり、安全性と残効性に優れています。特にダニ・ノミ・トコジラミなどの小さくて這いまわる害虫に対して有効で、畳の裏、床下、天井など広面積での散布に使用されています。
粉状タイプの殺虫剤は害虫の発生数が多く、発生範囲が広い場合に有効で、主に屋外に散布して使用します。また粉状タイプは、屋外で使用しても雨に濡れても流れにくいので効果の持続期間が長く、忌避効果もあるのが特徴です。アリ・ムカデなど地面や床にいる害虫におすすめです。
主な商品としては、アース製薬 虫コロリアース、フマキラー アリ・ムカデ粉剤、住友化学園芸 虫ギャフンなどがあります。
くん煙タイプ
くん煙タイプの殺虫剤は、ピレスロイドやオキサジアゾール系薬剤などを有効成分としており、これらの成分に発熱剤などを加え顆粒状とし、発熱を利用して白煙とともに殺虫成分を拡散させる殺虫剤です。有効成分が短時間で容器から勢いよく揮散し、一気に室内に充満してゴキブリ、ノミ、ダニなどを退治します。
害虫が気になる部屋だけで使用することも出来ますが、このタイプのものは、薬が充満していない部屋に害虫が逃げてしまうことも考えられるので家中の部屋で使用することをおすすめします。成分の粒子はとても小さいので、狭い隙間や目に見えない部分(家具の裏側)などにも殺虫剤の効果があります。
また目にみえない小さい害虫(ノミ・ダニ)にも効果的な殺虫剤です。頻繁に害虫が発生するようになったら、使用するのがおすすめです。主な商品としては、アース製薬 アースレッド、ライオン バルサンなどがあります。
設置型タイプ
残構成と速効性に優れていて、手軽に使用できる殺虫剤として人気があるのが設置型タイプです。設置型タイプのものでは、有効成分であるピレスロイドを木粉などの植物成分に混合し、更にタブ粉、澱粉等の粘結剤を加えて練り、渦巻状に打ち抜いて乾燥させた製剤の蚊取り線香や、常温においても高い揮散性を持った有効成分を樹脂に練り込んだ製剤の殺虫プレートなどがあります。
他には、有効成分のピレスロイドを含浸させたマットや液体を加熱して揮散させるタイプの電気蚊取り線香、粘着殺虫剤・毒餌剤など様々な種類のものが販売されています。設置をしておくだけなので手軽に害虫が駆除でき、屋内で頻繁に害虫が発生する場合はこのタイプがおすすめです。
設置するだけで、害虫を駆除できるので蚊やコバエなど害虫退治に向いています。設置型タイプの商品には、アース製薬のベイト(毒餌)型のブラックキャップや、電気蚊取り器のノーマット、キンチョー 金鳥蚊取りマットがあります。
目的別:上手な殺虫剤の選び方
殺虫剤は、殺虫対象の害虫によって含まれている殺虫成分が異なっています。そのため、様々な種類のある殺虫剤の中から、殺虫剤を購入する時にはどんな害虫を駆除したいのか明確にしてから殺虫剤を選ぶことがとても大切なポイントです。
また、害虫と言っても屋内・屋外にたくさんの種類がいるので、害虫の種類に合ったものだけでなく、殺虫剤を使用する場所に合わせて選ぶことによって効果的な殺虫剤は変わってきます。ここでは、目的別の上手な殺虫剤の選び方を詳しく説明したいと思います。
屋内で害虫が発生した場合
- スプレータイプ(エアゾール)
- くん煙タイプ
- 設置型タイプ
屋内で害虫が発生した場合はすぐに駆除・退治することがとても大切なので、上記のタイプの害虫に対して速効性と致死効果に優れている殺虫剤がおすすめです。上記の3つのタイプはそれぞれ、使用方法や、殺虫対象となる害虫の種類に合わせた種類が販売されているので、駆除したい害虫に合わせて選びましょう。
屋内でゴキブリなどの害虫が発生した場合は、手軽にすぐ使用できるスプレータイプ殺虫剤や、狭い隙間や家具の裏など見えない部分のゴキブリ・ダニ・ノミなどの害虫も殺虫できるくん煙タイプ、蚊やコバエなどの空中を飛んでいる害虫を駆除できる設置型タイプが最適です。
屋外で害虫が発生した場合
- 液体タイプ
- 粉状タイプ
屋外で害虫が発生した場合は、上記のタイプの殺虫剤がおすすめです。常に屋外で害虫駆除をすることは難しいため、長い間薬剤の効果が続くものが向いています。液体タイプも粉状タイプも広範囲のアリ・ムカデ・ダンゴムシなどの害虫を駆除でき、また残効性にも優れているため長期間の殺虫効果が期待できます。
農作物に害虫が発生した場合
- 液体タイプ
- 有機JAS規格(オーガニック栽培)の殺虫剤
農作物に害虫が発生した場合は上記の殺虫剤のタイプがおすすめです。口にする農作物に使用する際には、農作物に直接かからないように液体タイプのものを使用したり、化学殺虫成分を含まずに安心な天然殺虫成分で作られた有機JAS規格の殺虫剤が最適です。
特に有機JAS規格の殺虫剤は、様々な野菜類・果樹類・いも類・豆類・ハーブなど幅広い農作物に収穫前日まで使用できるものなどもあり、アブラムシ、コナジラミ、ハダニ、うどんこ病のほかアオムシ、ケムシなどの害虫に効果があります。